そんな事を考えていたら

そっと私の前にティッシュの箱が

差し出された。

「・・・ありがと・・・沙織ちゃん」

沙織ちゃんはニコっと笑い

またボールペンを走らせた。


『辛さはどんな種類のものでも

誰とも比べられません』


・・・驚いた。

比べ物にならない、と思った私の心を

沙織ちゃんに悟られたのかと思って。


ましてや、この女の子は声を失くすほど・・・

そして、たぶん・・・・・・

両腕に巻かれた包帯も、関与しているのであろう、

それこそ私なんかには絶対に絶対にわからないような

辛い思いをしたからこそ

このアパートにいるのだろうに。


「そうだね」


私の言葉に、また微笑んで頷いた

不思議な女の子。

強いね、沙織ちゃん。