『初めまして。私は沙織です』

綺麗な文字。

ノートをこちらに向けて見せる

動作をした時、Tシャツの袖口から見えた

沙織ちゃんの両腕には

真っ白な包帯がぐるぐると

巻かれている事に気づいた。

「沙織ちゃんね、声が出ないの。

色々あって家を出て来たところを

祐市が見つけてね、ここに連れて来たの」

セイちゃんがぽつりと寂しそうに言った。

私はなんと言えばいいのかわからず

沙織ちゃんのように黙って頷いた。