「沙織ちゃん、起きてたんだ?」

セイちゃんが聞くと黒髪の女の子は

にっこり笑って頷いた。

鎖骨にさらりと垂れるくらいの髪の長さ。

ただそこに座っているだけなのに

不思議なムードを醸し出している。

同じ女なのに、見とれてしまうくらい。

セイちゃんの頭越しに彼女を見ていたら

目が合った。

それに気づいたセイちゃんは彼女に

「この子ね、マキちゃん。

泊まってもらうんだ。いい?沙織ちゃん」

こくり。

またしても頷く女の子。

私が

「お邪魔します」

とお辞儀をしたら彼女は、

近くに置いてある小さなノートに

マーブル模様の可愛いボールペンで

さらさらと何かを書き始めた。