「それじゃおやすみ」、と

私とセイちゃんはカオル君の部屋を出た。

廊下は夕方電話をかけに出た時よりも

より一層薄暗く

「ここがトイレだよ。

そんであっちが洗面所」

指差しながら教えてくれるセイちゃんには

申し訳なかったが、

ほとんど何もよく見えなかった。

二階へと続く階段は

出来る限り静かに上っても

キシミシと音がなる

古びた木で出来ているようだった。


「ここだよ。セイと沙織ちゃんの部屋」

さすがに先程までとはうって変わり

声を潜めながら

セイちゃんはそっとドアを開けた。

が、しかし。

「あれぇっ??」

突然セイちゃんは、頓狂な声を上げた。

背が小さいセイちゃんの頭越しに

『シーッ』

というゼスチャーをして微笑む

黒髪で色白の幼い顔をした女の子がいた。