「コイツ、悪さしなかったぁ?

もーむちゃくちゃ女癖悪いんだよ~

超悪党だから、マキちゃん気をつけてね!」

「余計なこと言うなっての!」

あのキスは『悪さ』に入るんだろうか。

瞬間、そんな思いが頭を過ぎったが

私は首を横に振って

「泥酔してたとこ、保護ってもらったから。

悪さとかされてないよ、大丈夫」

セイちゃんに答えた。


それにしても。


ここのアパートの住民は、全員顔見知りなのだろうか?

「・・・セイちゃんの部屋はどこなの?」

「あたし?あたしはねぇ、二階の201だよ♪

沙織ちゃんって子と一緒に住んでんの」

「全部で部屋いくつあるの?」

「んーと・・・一階が四つで二階が三つ」

ここお風呂ないしトイレも洗面所も共同だから

すごい家賃安いんだー。

だからビンボーなヤツばっか集まって住んでるんだよぉ。

笑うとふにゃっとなくなるセイちゃんの目。

女の子だからなのか、セイちゃんの懐っこさのおかげか

私はこの部屋にいて初めてリラックスした状態で

話が出来た。