「・・・あの時は驚いたわよ。

姉ちゃんマッパで笑ってるわ

真希は何にも覚えてないわ」

そう。

あの人は有美子のお姉さんの
亜美子さんだったのだ。

亜美子さんがひぃひぃ
笑い転げていたあの時、

有美子がちょうど帰って来た。

有美子と亜美子さんから聞いた
私からの話によると
(ええい、ややこしい。)

私は飲み友達と別れた後、
いい感じに酔っ払ってしまい

一人で二次会をしていた店の
隣の席に座っていた
この姉妹と盛り上がった挙句
ダウンしたらしい。

ダウン、というかいきなり
寝こけてしまったらしい。


「急性アルコール中毒かと

思って、びびったわよほんと」

「いや、もうごめんってば!

昔の事より今だよ今。

・・・どうしたらいい?私」

話題を戻した私に有美子は

「さっき言ってたじゃない。

カオル君って子が帰って来たら

事情聞いてさ、謝って帰るだけ

でしょ?」

「えぇ??

なんで私、謝るの?」

ふー。

電話の向こうで煙を吐き出し、
私のクールな女友達は
さらっと答えた。

「だって真希が悪くないわけ

ないじゃないの。

お礼もちゃんと言うのよ。

『泥酔女を道端に捨てないで

連れて帰ってくれて

ありがとうございます』って」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


前科が何度もあるだけに

ぐうの音も、出ない。