どたばたじたばた。

なにこれ、コント?

いつの間にやら床に押し倒されてしまった。

組み敷かれて、身動きできない!!


「好きだ」

「…私は、好きじゃない」


優しい人って思ってたけど。


「こんなの、レイプと一緒だよ」


そうだよ。友達の彼女に、なんてことするの?このオトコ。


レイプ、という私の言葉に、一瞬我に返ったように

ほんの少し力をゆるめて「ごめん」。


謝ったくせに、両手首はまだ、離してくれない。


「…つきあおうかと思ってたんだ」

「?」

「女の子にひっぱたかれた、あれ。

ずっと断ってたんだけど…つきあってもいいって言った」

「…」

「でも、…あんたとカオルが公園でキスしてるとこ見て

なんかそれがすげー…やだった」


さらさらと頬に、ユーイチ君の髪が触れる。

さらさらと零れ落ちてくる言葉と共に。


「…見てたの?」

「仕事帰りに、偶然見かけた。

それで、やっぱりつきあうのやめるって女の子に言っちゃったんだ。

あんたのこと好きだって気づいたから」

「………」