突き落とされた私には

新しい恋をするたびに生えてくる羽があり

地面に叩きつけられる直前それを動かし

ふうわりと空に浮かぶ事ができる。


かたくかたく抱きしめられ、

彼と私の体温が混ざり合う頃

もう空は限りなく朝に近づき

星はどこかへ帰っていった。



……ついでに私とカオル君の姿を目撃した

新聞配達を終えた祐市君も帰って来ていたことを

この時の私はまだ、知らなかった。