叱られてしゅんとしたワンコみたいなカオル君は
ほんの少し拗ねたようにそう言った。

私にだって、わかってる。

相手を深く知らなくても、たった一瞬目が合っただけでも
人は恋をするもの。

理由も理屈も通らない。要らない。

「…なんで?私なの?」

それでも理由を知りたがってしまう。

それは私が女だからなのかも知れない。

「なんでだろ。…よくわかんねーけど…」

正直な返事。

こういうのに弱いのも、私が女だから。

そしてたぶん……

カオル君より私の方が、年上だから。



「……ああっ!!!!」


え?


突然声を上げてカオル君が立ち上がった。


「ちょっ!!すげぇっ!!!」

「何?どうしたの???」


きぃきぃと小さな音を鳴らして

彼が立ち上がったブランコが揺れている。


「今の!!!見た!?真希ちゃん!!!!」

空を指す指。ついさっきまで

私の髪と同化していた。

「何が?」

「UFO!!!!!!」

「ええぇっ!?」