上を見上げていてもわかる。

カオル君は暫くの間、

じっと私の顔を見ていた。

そしてゆっくりと前に向き直り


「俺、真希ちゃん気に入ってんもん」


ぼそっとつぶやいた。


「ありがとね。私もキミのこと、気に入ってるよ」


そんなふうに、星空よりもきらめくのはやめて欲しい。

私はもう当分恋なんかしたくないんだから。


ちょっと余裕のあるところを見せるためにも

私は彼の言葉にさらりと答えた。

本当はもう心臓が壊れて砕けてしまいそうなのに。


彼を見つめて微笑む私の視線を

じっとまっすぐ受け止めて見つめる。


「・・・カオル君、それってクセ?

じっと人の目見るの」


「好きなものはなんだって

じっと見るもんでしょ?」


呼吸さえも慎重にしなければ

バレてしまいそうだ。



(・・・・・・・・『バレる』って、何が?)



「真希ちゃんて今、彼氏いんの?」


「・・・・・・・・・いない・・・よ」


あの大きな手が

今度は私の髪に触れた。


からめとられてしまいそうだ。