「・・・もう寝るんじゃなかったの?」

ヘアバンドを首に下ろして
タオルと一緒に巻いたカオル君は

曇りガラスで出来た引き戸の玄関を開け

昨夜の私の空き缶がまだひっそりとある
小さな公園まで着いて来た。


「夜中だから一人じゃ危ないじゃん。

俺、これ真希ちゃんに言うの二回目だよー」


だめデショ、女の子なんだから。


年下の茶色いワンコはお母さんみたいにそう言って

ブランコに腰掛けた。


「・・・フェミニストだね、カオル君」


「えーーー?そうでもないよー

俺、結構ひどいコトするよ女の子に」


本当にひどいオトコは、そんなこと死んでも言わない。


「でも、私はされてないから」


カオル君の隣に並び、ブランコに腰掛けた。

見上げると空はデコったみたいにキラキラ輝く

ビーズの星でいっぱいだった。