「じゃあ、次は男らしく。そうだな、カメラを睨みつける感じで!」
「えっ、あ、はい。頑張ります」
まだ羚に注文つけるのは早いだろ?
さすがに、戸惑ってるし、できねーだろ…。
ピーカシャッ、ピーカシャッ
「うーん、もうちょっと睨んでいいよ」
ほら、あいつにはできねーよ。
カメラの前で笑えるようになっただけでも十分だな。
そろそろ、着替えるか…。
俺がモニターの前から立ち、楽屋の方に行こうとした瞬間。
「いいねぇ!ほんとに男の子みたいだ。下手すれば、篠原よりカッコいいんじゃないか?」
「いや、そんなことないですよぉ」
俺より…かっこいい?
振り向いてモニターを見ると…。
そこには、女の羚ではなく
アイドル白坂羚がいた。
こいつ、本当にあの羚か…?
「あいつ………」
この時、社長が間違えてスカウトしたわけが分かった気がした。
これからのSkyはほんとにもっともっといいグループになるかもしれない。
男の俺でも、カッコいいと思ってしまうほどのその顔。
カメラを睨みつけるその顔。
自然と笑うその顔。
これは、女の子のファンが増えるな。
俺はそう思い楽屋へと戻った。
