面と向かって言うには照れ臭いから、腕の中のゆめに心で伝えたつもり。 「おやすみ、ゆめ」 「まき、おやすみなさい」 近い将来腕の中に入れたままこのセリフを聞けるんじゃないかと、密かにニヤケながら家に向かう。 目があったらもう次は離したくなくなると思って振り返らないようにした。 …玄関を開けると仁王立ちでお袋が待っていた。 その先は、言いたくない。 いつか話そう。 いつか、ね。