…そうだった。 償うとか無理とかの前に、ゆめを取った俺が…山中を振った俺が、ゆめを諦めたら一生山中が報われないんだ。 「言わないでおこうと思ったけど…あたし、佐倉君に振られて泣いたの」 「っ!!」 ――あれは、作り笑いで、精一杯の強がりだったのか―― 「佐倉君を見送ったまでは大丈夫だったんだけど、荷物取りに自分の教室に行って一息着いたらドッとね…」 悲しい思い出のはずなのに、山中の顔はすっきりしていて、優しい記憶を思い出しているみたいだ。