プラチナブルーの夏

「最後はやっぱこれでしょ」
 
そう言って、トモロウは線香花火に火をつけた。

それをあたしに渡して、もう一つ自分の分も火をつけた。
 
ピチパチと微かな音を立てながら線香花火が揺れる。

小さな玉が震えながら大きくなったり小さくなったりする。
 
その様を見つめているうちに、なぜだか涙が流れた。

その瞬間、あたしの線香花火はしゅんと地面に落ちた。

「どうした?」
 
あたしの顔を覗き込んだ瞬間、トモロウの線香花火もポツリと落ちた。

「トモロウ、またどこかに行っちゃうんだよね」

「…………」

「結構近いうちに、行っちゃうんだよね。違う?」
 

ずっと一緒にいたい。けれども、それは絶対に叶わない事だと、

あたしはわかっていた。

いつだって、こめかみの辺りではずっとずっと。
 

気づいていた。