プラチナブルーの夏

息苦しい…
 
いつものベンチでトモロウを待っているだけで、

こんなにも息苦しい。
 
あたしって、トモロウに恋しちゃってんの?ほんとに?
 
カナには断言されたけれど、まだあたしにはいまいちピンと来なかった。
 
胸の嵐はさらに激しさを増す一方。
 
それでもやっぱりピンと来なかった。
 
なぜだか腑に落ちなかった。

「お待たせミズキ~」

「あ、お帰りー」
 
トモロウが姿を現した瞬間、あたしはとっさに

『これって恋?』モードから『通常』モードへとスイッチを切り替えた。
 
そんなあたしの心の動きなんて露とも知らずにトモロウは

あたしの左頬に触れ、

「ここ、だいぶ目立たなくなって来たな。よかったね」

『働き』モードから『ワンコ』モードに切り替わり、

柔らかく嬉しげに目を細めた。
 
その時またしてもあたしのモードは、あっさり『恋?』に切り替わり、

トモロウの触れた部分からそれが広がり、

顔中が熱くなってしまった。

「あれ?ミズキ顔赤いよ。熱っぽくない?」

(熱っぽいのはトモロウの手だよ)
 
心の中でつぶやきながら、あたしは黙って

首を振る事しかできなかった。