泣きに泣いて腫れたまぶたが重い。
ゆっくりとトモロウの顔を見上げた。
表情で彼の感情を読み取る事はできなかったけれど、
ふと聞きたかった質問を一つ思い出し、尋ねてみた。
「トモロウは、どうしてこういう生活をしてるの…?」
カチッ
返事代わりのようにトモロウの手元が、一瞬明るくなる。
真っ白な煙を、あたしから少し顔を逸らして、
遠慮がちに吐き出す。
ふぅん…
煙草、吸う人なんだ。
ほんとにちっともトモロウを知らないあたし。
あたしの質問に対して、彼はちょっと笑いながら、
「どうしてだろね。
……いい歳して、自分探しでもしてるんじゃね?」
ワンコらしくない。今まで見た事のなかった、
作ったような笑顔。
はぐらかされたような気持ちになったあたしは、質問を変えた。
「いい歳って、いくつなの?」
「二十四。…今年で五か」
えっ!?
「マジで!!?どうみても、そうは見えない!
あたしよりせいぜい二個か三個上ぐらいだと思ってたよ!?」
素で驚いたあたし、枯れてはいるけど思いがけず大きい声が出た。
するとワンコは、ものすごい秘密を打ち明けるみたいに
声のトーンを低くし、コソッと言った。
「知ってる?…人ってさ、路上生活してると
歳とらないんだぜ…?」
?????
なにそれ……???
ニンマリ笑ったトモロウに、
「いや、それ絶対ありえないから」
あたしは冗談ぽく言葉を返した。
しかしトモロウは、もう笑ってはいなかった。
「嘘じゃないよ。少なくとも、俺はそうなんだ。
だからまだ二十二歳で時間が止まってる…」
ふわりさらりと煙草の煙が、風に流され消えて行く。
…なんだか意味深…。
真顔の、言葉。
ゆっくりとトモロウの顔を見上げた。
表情で彼の感情を読み取る事はできなかったけれど、
ふと聞きたかった質問を一つ思い出し、尋ねてみた。
「トモロウは、どうしてこういう生活をしてるの…?」
カチッ
返事代わりのようにトモロウの手元が、一瞬明るくなる。
真っ白な煙を、あたしから少し顔を逸らして、
遠慮がちに吐き出す。
ふぅん…
煙草、吸う人なんだ。
ほんとにちっともトモロウを知らないあたし。
あたしの質問に対して、彼はちょっと笑いながら、
「どうしてだろね。
……いい歳して、自分探しでもしてるんじゃね?」
ワンコらしくない。今まで見た事のなかった、
作ったような笑顔。
はぐらかされたような気持ちになったあたしは、質問を変えた。
「いい歳って、いくつなの?」
「二十四。…今年で五か」
えっ!?
「マジで!!?どうみても、そうは見えない!
あたしよりせいぜい二個か三個上ぐらいだと思ってたよ!?」
素で驚いたあたし、枯れてはいるけど思いがけず大きい声が出た。
するとワンコは、ものすごい秘密を打ち明けるみたいに
声のトーンを低くし、コソッと言った。
「知ってる?…人ってさ、路上生活してると
歳とらないんだぜ…?」
?????
なにそれ……???
ニンマリ笑ったトモロウに、
「いや、それ絶対ありえないから」
あたしは冗談ぽく言葉を返した。
しかしトモロウは、もう笑ってはいなかった。
「嘘じゃないよ。少なくとも、俺はそうなんだ。
だからまだ二十二歳で時間が止まってる…」
ふわりさらりと煙草の煙が、風に流され消えて行く。
…なんだか意味深…。
真顔の、言葉。


