プラチナブルーの夏

結局あたしは再び、トモロウの住処に一緒についていった。
 
大きめのタオルを使って、トモロウが顔や髪を拭いてくれた。

なんだか照れくさくて

「いいよ、自分で拭く」
 
あたしはタオルに腕を伸ばした。

「…あれ?ミズキちゃん…その傷どうしたの?」

「あ……」

そう言えば、すっかり忘れていた。

ガラスの破片で切れてしまった少し大きめの傷を

目敏く見つけトモロウは無言になった。
 
雨音と雷だけが、激しく聞こえる沈黙の時間。

「…ミズキちゃん」
 
トモロウが口を開く。

「…なんですか?」
 
なんだか緊張しながらあたしは答える。
 
傷の理由を聞かれるのだとばかり思っていたのにトモロウは

「君はなんだか複雑な人生を送っているんだねぇ…」
 
表情は真剣なのに、なんとなく間のヌケたような言葉が返ってきた。
 
あたしは彼の意外な言葉に思わず吹きだしてしまった。

「あはははははははは!!」
 
涙が出て来た。借りたタオルで顔を覆った。

笑いも涙も止まらなかった。