プラチナブルーの夏

彼は、どんな事情で路上生活を始めたのだろう。
 
この生活を始めてからどれくらいの日々が経っているのだろう。
 
けっこう若く見えるけど、歳は一体いくつなのだろう。
 
このままずっとこの生活を続けるつもりなのか。
 
…このままずっと『鏡川ら辺』にいるのだろうか。
 
これは、あたしのただの興味本位。
 
あたしがトモロウのそれらを知りたいと思うのは、たぶんきっとそれだけだ。
 
あのリツコとの悲し過ぎた別離の後、三年ぶりに自分から

『話がしたい』と思った、興味を抱いた人。
 
あたしの中にはまだこんな感情が残っていたのかと、気づかせてくれた人。
 
そのたった一つの小さな心の動きだけでも、あたしがトモロウに

『会いたい』と思うには、充分過ぎる程の理由だ。

 
シャーベットが溶けないうちに、冷たいお茶がぬるくなる前に。
 
あたしはダッシュでトモロウの住処へと走って行った。