おいしいおいしいリツコの手料理をたっぷり満喫した後、あたしはようやくシャワーにありついた。
 
ほどよい温度のお湯の雨が、全身に柔らかく刺さる。心地良かった。
 
しかし、同時にあのホームレスに腕を掴まれた時の嫌な感触や、

ニヤけた、間抜け顔、露出した下半身など、忘れたくてたまらないものばかりが、いちいち頭に思い浮かんだ。

(………汚い………)
 
どれほど洗っても汚れが落ちないような気持ちになってしまったあたしは、

何度も何度も繰り返しスポンジで、カラダを擦り続けた。


「あーミズキ。どやった?サッパリした?」
 
テレビを観ているリツコの小さな背中が、こちらを振り向いて笑った。