それから間もなく、あたしとトモロウの

お別れの日がついにやって来た。
 
住処がすっかり片付いた時は大きな喪失感を覚えて

泣いてしまったけれど、最後は二人とも、

見つめあいながら笑っていた。

「バイバイ、ボロチャリ」
 
そう言ってトモロウと荷物が乗った、

チャリのカゴをあたしは撫でた。
 
トモロウは、これからまた来た道を戻って実家に帰ると言った。

「がんばるから、がんばれよ」
 
トモロウは笑った。いつも通りに。
 
バイバイ、ワンコ。

「がんばるから、がんばれよ」
 
あたしもトモロウに、そう返し、笑った。

「バイバイ。」
「バイバイ。」
 
軋みながら走って行くチャリと共にトモロウが遠くなる。
 
見上げた空は遠く高く、あたし達のお別れと門出の日に

ピッタリな水色。

眩し過ぎるその水色に、真っ白な雲が浮かんでいた。
 
あたしは暫く立ち止まり、いとしい背中が向かった先に、


ーーどうかたくさんの希望が満ち溢れていますようにーー

 
心から、そう願った。