あんなにも知りたかった、トモロウの過去。

彼を意識してしまう前ならば全く平気で聞けたはずなのに。
 
結婚してた事があるんだって事実だけで、

あたしの心はシュンとしぼみ、ズキズキと胸が痛んだ。
 
相変わらず背もたれに頭を乗せたまま、

ブラブラと意味もなくあたしは両足を揺らした。
 
七つ目の明かりがトモロウの手によってギュッと消された時。

「…そろそろ、帰ろうか」

「えっ?」
 
びっくりした。

「だって、今の話は…?」
 
知りたい…けど知りたくない…でも、ーーでも。

「…そこまで話してくれたなら、全部教えてよ。聞きたいよ」
 
あたしは自分の発言により、自分の本音を初めて知る。

気になるもん…やっぱり、全部聞きたいよ。

「それともトモロウは、これ以上話したくないの…?」
 
そうだとしたら、無理に聞き出すなんて事は、したくない…。

「…俺、また泣くかもよ?」
 
冗談ぽく笑うトモロウ。
 
とりあえず、チャリだけこっち持ってくるわ。
 
そう言ってチャリを引いて戻って来たとたん、

トモロウは覚悟をしたように話を一気に進めた。