プラチナブルーの夏

病室を出ると、聞いてもいないのに

あの女の担当医らしき男性が過労・ストレス・不眠・酒量が

どうたらこうたら、あの女の容体について話しかけて来た。
 
あたしは嫌いな授業を受けている時と同じ要領で、

『聞く耳持たないスイッチ』をオンにしたまま

適当に相槌を打ちまくり、やっとの事で解放された。
 
たぶん15分も経っていないはずなのに、病院の外に出ると

オレンジだった夕空は一段と暗いトーンのオレンジに姿を変え、

夜の黒と混ざり合いながら消え去る準備を始めていた。