プラチナブルーの夏

渋々ボロチャリの後ろにあたしは乗った。
 ギ
シギシと頼りない音をたててチャリは走り出した。
 
トモロウの背中は、汗でびっしょりになった。

 
相変わらず、大きな棺桶のように聳え立つ病院。


「俺は外で待ってるから。

…ゆっくり顔見せに行ってきな」
 
ほんの少しだけいつものトモロウの穏やかな口調に戻っていた。

「うん。…わかった」
 
まるでジェットコースターのような猛スピードのチャリに揺さぶられ、

あたしはふらふらと病院の中へ入った。

「あのー…さっきお電話いただきました…

ミヤウチマスコの……ムスメ、なんですけど……」
 
入り口を入ってすぐ正面にある案内カウンターにいた

女の人に話しかける。

「はい。ミヤウチマスコ様のご面会ですね。少々お待ち下さい」
 
憂鬱過ぎて、脱力する。
 
なんでわざわざあの女に、

会いに来なければいけないんだろう……。