「まぁいいです。
俺、桜先輩と話がしたいので、放課後、教室で待っててください。迎えに行きます。」


「わ、わかった…」



それだけ言って、花咲君は屋上を出ていった。

お昼食べてないし。


「桜、案外花咲君もまんざらじゃないんじゃない?」


「どうゆこと?」


「好かれてるのよ。さっきの彼氏候補のことも、本気だったんじゃない?」


「それはないよ。」



花咲君にはきっと、もっといい人がいる。

私なんかより、ずっと。



「桜は…」



途中まで出かけた伊織の言葉は、強い風によってかき消された。