「お兄ちゃん…」
それは紛れもなくお兄ちゃんの声だった。
「なに泣いてんだよ?」
「私って、大和の特別にはなれないのかな…?」
ずっと『幼馴染』で終わっちゃうのかな?
「桜は十分、大和の特別じゃねぇの?」
「でも、彼女にはなれない…。」
彼女になれなきゃ意味ないの…
私は物わかりがよくないから、幼馴染でいいなんて思えない。
「なんか言われたんだ?」
「別に。」
お兄ちゃんに言ったら、またからかわれるから絶対言わない。
でも、もっと追及されるとばかり思ってたけど…
「今は泣いとけ。俺がそばにいてやる。」
なんて。
優しすぎるでしょ…こんな時だけ。


