「お兄ちゃん!!」
できるだけ急いで廊下を走ると
ちょうど、職員室からお兄ちゃんが出てくるところだった。
そのお兄ちゃんを呼び止める。
「桜じゃん、はよ」
「はよ、じゃない!
バスケ部に勝手に行ったんだってね。」
「よく知ってんな。大和か夕凪に聞いたのか。」
私がその情報を聞いたのは確かに夕凪君だけど、20人近くいる二年生な中で夕凪君だと分かるところはすごいと思う……。
…って、関心してる場合じゃない。
「大和がすっごい怒ってたんだけど!
なんかしたでしょ!?」
「桜はまだ大和が好きなんだな。
その愛情の一欠けらでも俺に分けてよ。」
「それは無理!」
勝手にアメリカ行く人にそんなことしてられない。
それに、お兄ちゃんに愛情を注いでも返ってこなさそうだもん。


