「あのね伊織、お兄ちゃんが帰ってきた。」
「夏輝さん?アメリカ行ってたんじゃなかったの?」
「うん、そうなんだけど…昨日帰ってきた。」
襲われかけたことは言わないよ?
伊織、お兄ちゃんにまで手出しそうだし…。
お兄ちゃんの無事を保障できないから。
「何のために?」
「わかんないよ、それは。聞いてないし。」
「そっ。でもよかったわね。
桜、夏輝さんのこと好きだったし?」
「そ、それは言わない約束でしょ!」
確かにそんな時期もあったけど、それは本当に昔の話だし……。
昨日お兄ちゃんが帰ってきた時も少し嬉しかったりはしたけど…
今は好きじゃない。
好きとかじゃないんだよ…。


