「一つは、もう一回だけ抱きしめさせてください。」 そう言いながら、日向君はさっきよりも強く私を抱きしめる。 …ずっと優しいんだよね、日向君は。 細かい気遣いとか、何でも許せる技量。 どれも大和にはないものばっか。 …もし、出会う順番が違ったら、私は日向君と付き合ってたのかな? こんな風に泣くこともなく、ただ笑って、楽しいものだったのかな? もうわかることはないけど、それでも、少なからず、 私は、いろんな意味で日向君が好きだったよ… 日向君は私を離すと、私の顔を覗き込む。 それで、