「桜、泣きたいなら泣いていいよ。」
伊織は優しくて、
いつも私のこと考えてくれて、
夕凪君もそう。
だから、私は泣かない。
いつまでも弱虫なままでいたくないから。
「大丈夫…」
大丈夫大丈夫。
こんなこと辛くない。
大和に嫌われることに比べたら。
大和と一緒にいれなくなることに比べたら。
これは仕方ないことなんだから。
私は泣かない。
絶対に。
修学旅行は、
私が大和をと喋れる唯一の時間で。
私が大和を独り占めできる唯一の時間だから。
伊織と夕凪君と4人でいれる
最後の時間かもしれないから。
ーー楽しまないと、意味がないよね……


