「桜先輩、今日はフルーツタルト作ってきたんですよ。」




「花咲君って、本当になんでもつくれるんだね。」




「タルトはさすがに初めてですよ。」




「うそだー。こんな綺麗なのに?」




「まぁ愛情の欠片とでも言いましょう。」




「なにそれ、変なの。」





夏休みが終わればすぐに学校は始まるわけで、



何もできないもどかしさは、



花咲君と喋ることでなんとなく消えている。







「今日は何もらったの?」




「フルーツタルト。いいでしょ?」




「綺麗ね。羨ましいわ。」




「あげないよ?」





私はもらったばかりのタルトを自分の席に持っていく。