◆
「桜先輩、今日はフルーツタルト作ってきたんですよ。」
「花咲君って、本当になんでもつくれるんだね。」
「タルトはさすがに初めてですよ。」
「うそだー。こんな綺麗なのに?」
「まぁ愛情の欠片とでも言いましょう。」
「なにそれ、変なの。」
夏休みが終わればすぐに学校は始まるわけで、
何もできないもどかしさは、
花咲君と喋ることでなんとなく消えている。
「今日は何もらったの?」
「フルーツタルト。いいでしょ?」
「綺麗ね。羨ましいわ。」
「あげないよ?」
私はもらったばかりのタルトを自分の席に持っていく。