「優衣亜、俺早く帰りたいんだけど…」
低く響く大好きな声に
そこにいるのは確かに大和と
「優衣亜」と呼ばれる女の子だっていうことが分かった。
その大好きな声に、
胸がギュウゥって締め付けられるような気がして、
私はその場に座り込む。
曲がりかどを曲がれば、優衣亜ちゃんがどんな子か分かる。
けど、私にそんな勇気があるわけもない。
ただうずくまって二人の会話を聞いていた……。
「ごめん……。時間はかけないから………」
「…」
「あのね、私……、ずっと大和のことが好きだったの……
私と、付き合ってください………!」
それは、優衣亜ちゃんから大和に向けての、告白だった。
優衣亜ちゃんの声、震えてる……
そうだよね、怖いよね……
大和は……?
大和は…、なんて答えるの……?
聞きたくて、
だけど聞きたくなくて、
震える体を必死に抑える。
「時間、くれる?
今スゲー頭痛いし、今はまだ答えられない…。」
……嘘、でしょ………?
「そうだよね……。ごめんね時間取らせちゃって。」


