「まっ。いつもみたいなんて思わないし、いい機会だったけどね。」 「良かったね。夕凪君もうまかったし。」 そんな他愛もない会話をして、 「ばいばい」 って手を振って、 伊織と別れて、 きっと、今日ほど家に帰ったことを後悔した日はない……… 「大和…、あのね………」 路地を曲がればすぐ家、 そこまできて私の足は自然と止まる。 確かに、誰かが「大和」って言ったのが聞こえたから。 女の子の声…… 聞いたことのない優しそうな声をしてる。