「ちょっと待って。送っていく。」
「え、いいよ。どうせ電車反対方面だから。」
本当は一緒に帰っているところ見られたら女子が怖いから。
「じゃあ、せめて駅まで。」
川瀬くんが私の鞄を持って歩き出す。
「待ってよ、大丈夫だって!」
「沢森さん、駅までの間に襲われたらどうするの?」
「大丈夫だよ、可愛くないし。」
「暗いんだから顔なんてわからないよ。
女子ってだけで襲われるんだから。
そして何より僕が心配。」
そんなこと言われたら断れないじゃん。
川瀬くんってしっかりしてるんだ。
嫌いなひとまでちゃんと女の子扱いしてくれるんだから。
