かわいい王子VS鈍感な姫

「そ…そうだよね!敵ってこと忘れてたよ!じゃあ、あたし真知ちゃんのところ行くからまたね!」


郁はそう言って走っていった。


郁…なんか様子が変だった…。


それに…


「良平…今、郁泣いてなかったか?」


「えっ!?」


「ちょっと行ってくる!」


俺は手に持っていた水筒とタオルとうちわを良平に預け、郁が走っていった方に走った。


郁…!


どこいったんだ…!?


俺は夢中で走った。


「…郁!」


やっと郁の姿が見えた。


俺の声が聞こえなかったのか、それとも聞こえていて無視してるのかはわからないが、郁は止まることなく走り続けた。


「…くそっ!」


加速し郁との距離を縮めていく。


ガシッ━


ようやく郁をつかまえた。


郁はつかまえられても、俺を見なかった。


「郁…。」


俺は郁の顔を覗きこんで見た。


…やっぱり…。


郁の目からは涙がこぼれていた。