誰もいない放課後の生徒玄関。



ここで彼に傘を渡したんだよね...。


あのときのことが思い出される。




ゆっくりと口を縦、横に動かす。




「...す、き...。


ふふっ、今だったら言えちゃうよ」




たった...たった二文字が言えなかった。


伝えられなかった。



こらえきれなかった 涙があふれる。




「...〝好き〝だったんだよぉ...」



もうキミの名前を呼べないんだ。



もう......



会えない