そして彼は鞄を開けた。


差し出したのは、見覚えのあるもの。



「あの日俺が傘借りたから、風邪引いたんだろ?」



「...もしかしてお詫びって...?」


こくり、とうなづく彼。


そんなの気にしなくてよかったのに...。

そんなところに気を遣う性格なんだ。


言葉に出さないのは、
相手に対して失礼だから。



「...ではお言葉に甘えて...」


恥ずかしいけど、丁寧に両手で受け取る。



「...開けても?」


「いいよ」


その言葉を聞いて
裏のテープを丁寧にはがす。






「わ......」