コップに注いだ水を一口飲んだとき



《ピーンポーン》


何やら軽快な音が聞こえた。


宅配便かなぁ。

だって涼太ならチャイム鳴らす前に
叫ぶだろうし。


不用心だけど、インターホンで確認する前に玄関へ向かう。





「はい、はーい...」


ガチャっとドアを開けて、顔を上げる。



思考が停止した。




「...よお...」


照れくさそうに
控え目にあたしを見つめる漆黒の目。




「...やがみ、くん...」


夏服の

〝八神 凌〟

その名札が目立っていた。