キミと恋に落ちるまで。




***



「(あれ...)」


漆黒の瞳を持つ少年は
誰かを探しているのかあたりを見回している。


そして寝ぐせのついた髪をした少年に声をかける。


「あの、さ...戸田...さんは?」


控え目に訊くと、
少年はジトッと疑うように彼を見つめた。



「...葵なら休みだけど?」


「休み?」


「傘持ってったはずなのに、ずぶ濡れで帰ってきてさ。
それで風邪引いたってわけ」


素っ気なく答えを聞いた彼は

鞄の中の折り畳み傘の存在に戸惑う。


「あ...」


「涼太ーっ、次移動するってー」

「おー」


口を開くと、ちょうど涼太と呼ばれた少年は友達に呼ばれた。





「...休みって...」


彼女がいない理由を聞いて、
彼は罪悪感を抱いた。



***