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「(あれ...)」
漆黒の瞳を持つ少年は
誰かを探しているのかあたりを見回している。
そして寝ぐせのついた髪をした少年に声をかける。
「あの、さ...戸田...さんは?」
控え目に訊くと、
少年はジトッと疑うように彼を見つめた。
「...葵なら休みだけど?」
「休み?」
「傘持ってったはずなのに、ずぶ濡れで帰ってきてさ。
それで風邪引いたってわけ」
素っ気なく答えを聞いた彼は
鞄の中の折り畳み傘の存在に戸惑う。
「あ...」
「涼太ーっ、次移動するってー」
「おー」
口を開くと、ちょうど涼太と呼ばれた少年は友達に呼ばれた。
「...休みって...」
彼女がいない理由を聞いて、
彼は罪悪感を抱いた。
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