「...あ」 あたしをまっすぐに見つめる漆黒の瞳。 どこか眠そうな気だるげな雰囲気がする。 八神くんはあたしに気づき、 目線を向けるが すぐに外へと移した。 話す話題もなくて あたしは靴箱から靴を取り出した。 目がそらされたことは少しだけショックだったけど。 「雨」 「え...?」 すると彼は、ぽつりと呟くように口火を切る。 「今朝晴れてたのに、急に降ってきたよね」 少しだけぎこちない 慣れない口調だった。