「えっ…ミユ……ユルカ?」
戸惑うカスカの足に縋りついて、
わぁわぁとユルカは泣きじゃくっていた。
その頭のつむじをぼんやりと見ながらーー
「ミユカ……」
カスカは小さくつぶやいた。
ミユカ。
カスカとユルカと三人並んでいると、
誰が誰だかわからないと両親に言われた。
学校の先生も友達も皆、三つ子を見分けることはできなかった。
何もかも、どこもかしこもがそっくりな三人は、
いつも一緒にいた。
ーテレパシーで話をしながら。
しかしある日突然ミユカに好きなボーイフレンドができた。
それ以来ミユカだけテレパシーが使えなくなった。
「ずっと三人でいようって、決めたじゃない」
カスカはミユカの声が頭に響いて来なくなった事が寂しくて
つらくてたまらなかった。
「うそつき」
ミユカの事が大好きだったから、
誰にも取られたりしたくなかったから。
「ミユカなんて、もういらない」
止めるユルカの言う事も聞かず、カスカはミユカを川に誘い込んで
溺れさせた。
「やめて、許して、カスカ!」
そう言ったのはミユカだったかユルカだったか。
とにかく、自分とそっくり同じ声の主が何度もそう叫んでいた。
思っていたより地味な抵抗をしながらも、ミユカは必死で
ピチャパチャと何度も水面に浮かんできた。
しかしやがて力尽きたように、川面にふうわりとフレアー状に広がった
その長い黒髪は、音も立てずに沈んでいった。
戸惑うカスカの足に縋りついて、
わぁわぁとユルカは泣きじゃくっていた。
その頭のつむじをぼんやりと見ながらーー
「ミユカ……」
カスカは小さくつぶやいた。
ミユカ。
カスカとユルカと三人並んでいると、
誰が誰だかわからないと両親に言われた。
学校の先生も友達も皆、三つ子を見分けることはできなかった。
何もかも、どこもかしこもがそっくりな三人は、
いつも一緒にいた。
ーテレパシーで話をしながら。
しかしある日突然ミユカに好きなボーイフレンドができた。
それ以来ミユカだけテレパシーが使えなくなった。
「ずっと三人でいようって、決めたじゃない」
カスカはミユカの声が頭に響いて来なくなった事が寂しくて
つらくてたまらなかった。
「うそつき」
ミユカの事が大好きだったから、
誰にも取られたりしたくなかったから。
「ミユカなんて、もういらない」
止めるユルカの言う事も聞かず、カスカはミユカを川に誘い込んで
溺れさせた。
「やめて、許して、カスカ!」
そう言ったのはミユカだったかユルカだったか。
とにかく、自分とそっくり同じ声の主が何度もそう叫んでいた。
思っていたより地味な抵抗をしながらも、ミユカは必死で
ピチャパチャと何度も水面に浮かんできた。
しかしやがて力尽きたように、川面にふうわりとフレアー状に広がった
その長い黒髪は、音も立てずに沈んでいった。



