Last flower【執筆中】

カスカ達の存在になど、少しも気づいていない

カイとユルカは、ついばむようなキスを何度も繰り返しながら、

祈りの儀式のように抱きしめ合っていた。

「…ユルカ」

「何?」

これ以上何も見たくない。聞きたくない。でもーーー 

振り向いてスイムの目を見ると、これ以上ないほどの悲しい顔で

カスカを見つめていた。

「俺、お前といるとすげー落ち着く。

なんでか、頭も痛くなんねーんだ」

「……うん。」

……やめて。

「ずっと一緒にいてーよ」

……やめてよ。何を、言う、つもりなの?

「うん。私も、カイとずっと一緒に…」

いつの間にか、汗ばむほどにスイムの手を握りしめながら、

カスカは目を閉じて、聞きたくもないはずのユルカの次の言葉を待った。

「死ぬまで…一緒にいたい」

沈黙が落ちた。

また二人は唇を重ね合っているのかも知れない。

「ーーー嫌……」

思わずこぼれた声。瞬間、カスカはスイムに口を塞がれたけれど、

それはユルカとカイの耳に、届いてしまった。

「カスカ……スイム……」

まず壁の向こうから現れたのはユルカ。続いてカイ。

4人は向かい合い、暫く黙り込んだ。

しかし、解凍されたかのようにカスカの目前に歩いて来たユルカが、

突然叫ぶように言った。

「ごめんなさいカスカ!!」

「え……?」

ユルカは両膝を地面に落として、

助けを乞うようにカスカを見上げた。

「私…私、カイが好きなの。好きになっちゃったの。ごめんなさい。

ごめんなさい。でも殺さないで!殺さないで!!」

「!?」

ユルカの目からは次々と涙がこぼれ始めている。

「ミユカみたいに殺さないで!!」

ミユカ?