「あ、見つけた!」

「え?あ、えーえと…えーえと…」

アンコはなぜか、いつも皆がめいめい遊んでいる少し広めの

『レクリエーションルーム』にドサリと座り、一人で折り紙を折っていた。

「私、ユルカよ。アンコの事迎えに来たの。あと…チャル、どこか知らない?」

「チャルサン……アンコは知らないです。今日は見たこと、ないです」

「そっか……」

チャルは、一体どこにいるんだろう。…後でカスカと手分けして探すしかないか…。

気を取り直して、ユルカはアンコに笑いかけた。

「ね、アンコが作ったクッキー、すっごい売れてるよ!お客さん、喜んでるよ!」

「ユルカサン。クッキーいいですか?よかったですか?」

お饅頭のように頬を膨らませてアンコは笑った。

「うん。すごい良い!だから一緒に外に出て、残りも全部売ろう?」

「………」

「……どうしたの?」

顔を覗き込むと、アンコは複雑な、なんだか不安そうな顔をしていた。

「アンコ、お外行ってもいい?行ってもいいの?」

「もちろんよ。だって私達の中で一番上手にクッキー作ったの、アンコだもの」

さ、行こう。ユルカはそう言って微笑み、促した。

しかし。

建物から、カスカが店番をして待っているジャングルジムの近くまで

カスカとアンコが歩いていくと、あちこちからざわめきが起こり、突然、

motherが駆け寄ってきた。そして何も言わずにアンコの手を取り、

ミノルが死んだあの日のように数人の男性と共にアンコを囲い込むようにし

て建物の中へと入っていった。

「…何、あれ。どういう事?」

カスカはあっけに取られて呟いた。

「わかんない……」

ユルカも同じように、呆然と立ち尽くしながらその姿を見送るしか出来なかった。