「はい、出来上がり」
　
ユルカの声にハッと我にかえったカスカは、鏡の中を覗き込んだ。

綺麗に編まれた自分の髪と顔。
　
当たり前だけれど、ユルカにそっくりだ。そして…「あの子」とも。
　
ぶるんっ！と突然頭を振ったカスカに、ユルカは驚いた。

「どうしたの？カスカ」

「なんでもない。次、ユルカ編んだげるよ」

ちょっと目を丸くして、それからユルカはにっこりと微笑んだ。

「うん。ありがとう」

「後で、ブルーの部屋に行こうよ」

そう誘いながら。

カスカが知らない間に、ユルカには何人かの友達が出来ていた。

そして、初めてここに来た時とは見違えるほど笑うようにもなったし、喋るようにもなった。

カスカは複雑な気持ちで、いつもそれを見ていた。

「あたしだけ、じゃ、ダメなの？ユルカ」

思わずそう問いかけたくなる瞬間が何度もあった。けれども。

頭の片隅では、わかっている。ユルカは自分一人のものじゃない。当たり前だ。

でも・・・だとしたら・・・

この胸に無数の穴が空いたような寂しさは一体なんだろう。

こんな気持ちとこれからどうやってつきあっていけばいいというのだろう。

ユルカの髪を見つめ、スルスルと編みながらカスカは小さな溜息をそっとついた。