理解しているが、だからといって彼女を許せるかどうかというのはまた別の問題なのだ。
ちなみに既に龍之介の中では宇佐美翔平の存在はなかったことになっている。
(こいつのせいで散々だったからな…)
いつもは喧嘩を吹っ掛けてくる男に向けられるナイフのような鋭い眼光を、容赦なく井上に向ける龍之介。
辺りの温度がぐっと下がったように感じる。
遠巻きに二人の様子を見ていた店員や店内の客もゴクリと喉を鳴らした。
その睨みに更に顔をしかめた井上は、勢いよく龍之介の腕を取るとそのまま出口に向かって歩き出す。
それは、引っ張るなどという可愛らしいものではない。
痛みすら感じるその力に龍之介は目を見開いた。


