先生が読んでいく英文を
丁寧に指先でなぞっていく。
今日は久しぶりの補習。
自習室にはまだ早いせいか誰もいない。
ふと顔を上げると先生と目が合う。
驚いて目を逸らすと
「うわっ。傷つくな〜」
英文を読むのを止めて
私の顔をじっと見る。
「どうかしましたか、先生?」
心臓が煩い中、冷静に先生に尋ねる。
「いや、そういえば元気になって良かったなーって」
「私、元気じゃない時ありましたか?」
「うん。ライブの帰り」
そっか...先生のことが好きだと分かって動揺してた時だ...
「あの時はライブに疲れちゃってて...」
「まぁ、元気そうでなにより。
んで、ココ分かった?」
「あっ、はい。
ありがとうございました。」
「いえいえ。」
先生は自習室を出て行く。
はぁ...
誰のせいで元気が無いんだか...
届けたくても届けちゃいけない。
相手が先生だから。
そんな理由に納得がいかない自分は勿論いる。
だけど
何か悪い事をしている気がした。