「どうしたん?」
窓を見つめる私に不思議そうに訊く。
「ううん。何でもない。」
首を横に振る。
「嘘ついてるわー」
と私を抱き寄せる。
先生の温かい体温は私を安心させた。
自分の罪が消えた訳じゃない。
何も知らなかった私に戻れる訳じゃない。
「先生、明日も好きだよ。
約束破ってごめんね?」
朝が来ても、先生への想いを忘れられないと思ったから謝った。
「謝らんで良いよ。俺、約束するなんて言ってへんで?誰が誰を好きになるかは自由やろ??」
先生を好きでいて良い。
そう言われた気がした。
「それに、こんなオッサンにこだわらんでも、他にいい人現れるから」
「そうですね。」
他にいい人...
前なら傷ついた言葉も、今は何とも思わなかった。
未来よりも今好きな人が大切で、
その気持ちは揺るがないから。