ー…

「ねえ、落ちたよ。」

優しく肩を叩かれ、
後ろからそう声をかけられた。

『えっ、あっ、⁇』

私は振り返り
思わず声を出した。

やさしい声をかけてくれたのは
あなただったから。

「はい、これ、落ちたよ」

あなたはそう言って、
笑顔で私にペンを渡した。

『あ、ありがとうございます!』

私がそういうと彼は笑って
もう一度口を開いた。

「…名前…、なんて言うの⁇」

私が聞こうとしたのを
読まれたように彼は聞いてきた。

『…保田沙羽。』

私は震えながら答えた。

「俺、有井風馬。沙羽って良い名前だね。」

笑ってそういい、
手を振って彼は教室を出た。