珍しく倉庫に寄らずに家へと帰ったのは、蓮の機嫌が依然として悪いから。
「あら、おかえり。……蓮、そんなに機嫌悪いと由美ちゃんに怖がられちゃうわよ」
そんな私達を出迎えた律さんは思ったより早く帰ってきたのに驚いていた……が、すぐに訝しげな表情になり、忠告らしきことを言った。
「うぜぇ、黙ってろ」
だが、蓮は鋭い視線を律さんに向けてそう吐き捨てた。
「朔君、こいつは何で機嫌が悪いんだ?」
その様子を見ていた司さんはあまりにも機嫌の悪い蓮に疑問を持ったのか、新聞を片手に訊ねてきた。
……珍しい。司さんがこの時間に家にいるなんて…。
「さっき、由美ちゃんの従兄妹が蓮のことを餓鬼と言ったからだと思います」
困ったように眉を下げた朔の話を聞いた司さんは喉を鳴らして笑いだした。
「蓮が餓鬼か……どんな奴だ?」
この蓮を餓鬼扱いした恭輔に興味を持ってしまった司さん。
……参ったな。司さんなら恭輔の事を知っていてもおかしくない。
あんまり…知られたくないんだけどなぁ…。


