「君に来てもらったのは、さっきも言った通り、大事な話しがあるからなんだ」

「大事な話?」

オウム返しにそう聞き返すと、王子は、少し言いにくそうに、だけれどもはっきりと、その眼に緊張の色を浮かべながら、話し始めたのだった。

「君も知っての通り、オレは明日で18歳になる。

 そして戴冠式を済ませ、王位を継ぐ」

そこまで言うと、王子は、あたしの眼を見る力に精一杯の気持ちを込める。

「だから君に、王妃としてこの国に残ってほしいんだ」

……。

えーっ!

「王っ、王妃って、あたしがっ!?」

王子は無言で頷く。

「でっ、でも、あたしには学校があるし、それに第一、突然娘が居なくなったら親が驚くし、心配するわっ!」

焦ってそう言うと、王子は、その眼を少し悲しげに光らせ、あたしから視線を逸らせた。

「そういう都合を差し引いて考えてみても、今はまだ解らない。

 でも、あの時、突然あんなふうに言われてから、あたし考えてた。

 それであたし、王子の事、好きなのかもしれないって思った」